街の明かりがまじかに見えてきた。
高度がだいぶ落ちてきたようだ。
ときおりゴー、ゴーと聞こえる。
エンジンブレーキをかけているのだろうか。

速度も下がっているはずなのに地上が
近くなったせいか速度が増しているように感じる。
もう動き回っている光がはっきり解るようになった。
自動車が止まっているのも、走っているのもわかる。
家の窓からこぼれおちる光も見える。
スチュワーデスさんが廻ってくる。
シートベルトはちゃんとしているか、
手荷物は危険の無いように置いてあるか
点検に来る。

ギーーという音が聞こえた。
車輪が降りた。いよいよ着陸だ。
一瞬機体が空中で停止したような感覚におちいる。
目標を定めた鷹が地上のうさぎに飛びかかるような内なる光景だ。
みるみる高度が落ちていく。
反比例して地上が近かずくにしたがって速度が上がっていくような
錯覚にとらわれる。

滑走路が真下に見えた。
もう少しで車輪がつく。
軽いショックがした。
車輪がついた。着地した。

そのとたん、グオーグオーというものすごい音が鳴り響く。
ジェットエンジンの逆噴射のエンジンブレーキをかけている音だ。
あっというまに速度がおちる。
グオーグオーという音が止まりゆっくりとした走りになる。
機体が停止した。着陸した。
緊張が緩む。



１２時間あまりの空の旅がひとまず終わった。
乗務員の皆様ありがとうございました。
お疲れ様でした。