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南十字星に口紅を
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7日目(2)
ガッチとザイルをかけた。
ザイルをクレパスに垂らした。
クレパスの底にザイルが届いたようだ。
ジョーは一か八かの賭けに踏み出す。
クレパスの中を一本のザイルに命を賭けて
底なしと思われたクレパスを下っていく。
ゆっくりとあわてずにクレパスの中を下っていく。
クレパスの底に何とか着いた、ガラガラと音がしている。
まだ底ではないことにきがついた。
空洞の中に何かが詰ってその上に雪が被っているようだ。
卵の殻の上のような所に降り立ったことに気が付いた。
早くここから抜けなければいつ崩れ落ちるかも分らない。
明るく日が差し込んでいる事にジョーは気がつく。
クレパスからの脱出口を発見した。
卵の殻の上のような底が崩れないようにはってそこに向かった。
遂に成し遂げた、クレパスからの脱出を遂に成し遂げた。
サイモンと同じように今度は氷河を下って行く。
骨折と満身創痍の体で地獄の道を生存を賭けて進んで行く。
途中、サイモンの足跡を見つけ期待と希望の複雑な心境の中で
希望を見つけて進んで行く。
迎えに来てくれるわけはない、希望が絶望へと変わる。
しかし、あきらめない最後まで希望をつないで行く。
遂に氷河から抜け出た、難関を脱出した。
希望はさらに希望へとなる。
もうすぐだ、サイモンの待つテントはもうすぐだ。
渇いた喉を泥水でいやし、冷え切った体を自分の
小水で温め、小さい満足を得ながら最後の戦いに向かっていく。
遂に、ここでジョーは力尽きる。

帰還したサイモンは儀式に臨んだ。
サイモンはテントに残していたジョーの衣服を焼く。
けじめと自分の気持ちをふんぎる為にジョーの衣服を焼いた。
サイモンは案内人と共に儀式を行った。

明日下山する。
静かな夜であった。
なかなか眠れない夜だった。
ジョーはサイモンの名を呼びつづけていた。
やわらかい風が吹いてきた。
聞こえた、サイモンに何かが聞こえる。
空耳なのかと思ったがやはり聞こえた。
今度ははっきりと自分の名を呼ぶ声が聞こえる。
やわらかい風が自分の名を呼ぶ声をはこんできた。
ジョーは生きている。
自分の傍に来ている。
急いで声のする方向に向かった。
出会った、仏様のような顔でジョーが待っていた。
奇跡の生還が再び起きた。

Celtic Woman / Chloe Agnew - O Holy Night


やわらかい風が吹いた。
やわらかい風がはこんでくれた。
やわらかい風が奇跡を起こしてくれた。

ジョー・シンプソンとサイモン・イエーツ。
二人の物語は世界のクライマーの伝説となった。



ほな さいなら
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