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南十字星に口紅を
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The Boxer
2013年8月の暑苦しい日であった。
もうこのポン都では死活問題の生活必需品となったエアコンをつけ、
いつものように録画しておいた火野正平さん、スタッフ主演の
NHK BS「にっぽん縦断 こころ旅」を観た。
そこに写っていたものは道から見た山の姿であった。
見覚えのある山である。
いや、何度か登頂したことのある山であった。
その山を観ながら一つのフィクションの物語が生まれた。

Simon & Garfunkel - The Boxer


時は200×年7月の夏の真っ盛りのある日。
場所は南アルプス甲斐駒ヶ岳。
急の雷雨の大襲来により待避をよぎなくされ
大幅に時間をとられ予定のルートの変更を迫られた。
豪雨の中、衆議によりルート変更を決定する。
天候の回復を待って大幅な時間短縮のルート変更を決定する。
尾根ずたいからの登頂を断念して頂上直下への直登となった。
天候回復。出発!!
急こう配の道のようで道でない森林地帯を登り、
やがて森林限界を越え目の前が開けた。
そこには急こう配のえんえんと続くかのようなガレ場が待っていた。
落石に気負つけてはいはいしながら登った。
ぽこっと尾根に出てきた。全員尾根に出てきた。
頂上直下の尾根に出てきた。
大幅な時間短縮となり予定の時刻より早くこのビバーク地に到着した。
やがて深い暗い夜となったが先を予感させる何ともいえない
気持ちの悪い夜であったのだ。
翌日無事頂上へなんなく到着した。
一路下山へ。
だがここから苦難の道が始まったのだった。
以前の台風で道がズタズタに切断されて歩行困難な状態であった。
戻り、道を失いそのままに何の疑いもなく禁断の沢すじへと踏み行った。
難関を乗り切り谷を下り滝を下りやがて思いもよらぬ事が起きた。
にっちもさっちもいかなくなったのだ。
装備が軽すぎてにっちもさっちもいかなくなったのだ。
滝の上に立ち全員で迂回路を探した。
4段目の滝であったが残雪か滑雪かの横に綱が垂らしてあった。
誰かがこの沢に毎年のように入ってきている。
あの綱からみて登山者ではない。猟師だろうと衆議一決した。
迂回路を全員で探した。
遂に発見、迂回路を発見!!
発端は太陽光に光る線状に張った針金の発見であった。
そこに人工の迂回路があったのだ。
人一人が通れる見事に崖を削った迂回路どした。
難関の滝を迂回してその滝の真下に到着した。
そこで驚くべき光景をみることとなる。
いくつもの卒塔婆の立ったお墓のようでした。
今でもよく覚えている。
名だたる大学の山岳部、社会人の山岳会の卒塔婆でした。
日付は夏の7月の後半でした。
過去の今日の日と同じ日付だった。
7月29日。
小さなケルンを積んで手を合わせて合掌した。
後ろ髪を引かれないようにゆっくりとその場を去ったのだった。

谷の中で一泊ビバーグして谷を抜けて前衛山によじ登り歩き
予備日、一日を費やしてそのまま下山した。
なんにもなかったような顔をして家に帰ってきたのだった。

そして何年か経ち。
またその山に登ったのだった。
だが決してその川、沢に足を踏み入れようとは誰もしなかった。
その川、沢に再び足を踏み入れようとは誰も言わなかったのだ。
黙祷してゆっくりとその場を去る。

フィクション物語はこれで完結する。
だがフィクションにしてはリアルすぎる。
フィクションであったのかノンフィクションであったのか。
当人たちとあの卒塔婆と獣たちだけが知るのみである。


夏がくれば思い出す~~♪♪
滝を見ると思い出す~~♪♪

            8月29日



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