面白いなぁ。不思議だなぁ。
そういう記憶を思い出すことがあるわけどす。
爽やかな幼い少女のしぐさと顔を共に思い出すことがあるわけどす。
高台の地で誰もいなかったはずなのにどこから現れたのか、
どこから来たのか座っていた芝生の横に立ち
ゆびを指してマリ。
また別の少し高い所をゆびを指してソル。
なんなのマリって。
なんなのソルって。
言葉の通じない一方通行の会話どした。
ゆびを指していた方向を見てマリマリマリと唱えたのであった。
マリ、そうかマリーンかシイーだ。
ソルソルソル、ソーラーだ。
サンだ、太陽だ。
お天道様だ。
しばらく一方通行のかみ合わない意味の通じない会話が続いたのだ。
体が小さいのにマリソル。
大きすぎるほどに大きなものを見ているのだ。
このくらいの年に自分はどうだったのかな、
まっ、そう思ったのだった。

Righteous Brothers - UNCHAINED MELODY


幼い少女にマリソルの意味を教わったのだ。
今度は彼女にお返しをしなければならない。
単語だけで感謝のお返しをする。
にっぽん、ジャパン、ジャパニーズ。
一方通行だが彼女はうなずいた。
彼女と同じようにゆびを指して、海、マリ。
マリは海。
海はマリ。
彼女と同じように少し高い所をゆびを指して、
太陽、お天道様。

彼女は答えたどす。
ゆびをさしてマリソル、海、お天道様。
世代を超えて、国境を越えて通じたどす。

素直な可愛らしい少女どした。
忘れられぬ進みゆく人生のスクリーンの一コマどした。

あれから、数年も。
君に会いたい。


ほな　さいなら